2017年2月14日(月)
『指定管理者制度の問題点』
今回は、指定管理者制度の問題点について考察しました。
いうまでもなく指定管理制度での公募においては、市や県などの地方自治体が公募の主催者であり、財団法人、民間などが応募し、指定管理者を選定していく、というものです。
この指定管理公募の選定プロセスにおいて重要なポイントとして、
① 自治体から出される公募要項が適切なものであること。
② 選定評価委員の適切な人選
③ 提出された事業計画書等の適切な評価
など、大別すると主に3つの要素で構成されています。
しかし、現状を見ると、残念なことに、これらの3つのポイントにおいて内容・質の両面で不十分なものとなっている場合がほとんどです。
指定管理の公募作業の質を上げるためには、先ず、自治体から出される公募要項において、各種の必要項目、求められる条件等の項目がしっかりと書けていることが、何よりの根源的な前提条件です。
また、選定評価委員の人選についても、当該施設の指定管理者を選定する上で、公募に参加した事業者の事業計画書等を適切に評価できる能力があることは、必須です。
しかし、現状の様々なケースを見ると、選定評価委員に弁護士や会計士等の法律・会計実務に精通した専門家や、役所本体の部長、副知事、副市長、地元商工会役員や地元名士などの一般的実務レベルの高い専門家、識者などは揃えられていますが、肝心の当該施設の運営に関する現場レベルでの経験及び識見の豊富な専門家や実務経験者などが欠落している場合が、多々、散見されます。
指定管理の公募選定を適切の行うという目的からすれば、提出された事業計画書や事業者等の質レベルでの内容を、選定評価員メンバーが、現実的かつ適切に、実際に評価できることが重要となります。
そうでなければ、指定管理者の公募選定の作業自体が、単にセレモニー化してしまい、また、事業者により提出された事業計画書の選定者側の評価自体も、その事業計画書自体の書類ベースでの完成度の高低のみに終始してしまい、その事業者がどの程度、その施設の運営に関しての知識を深く持っているのかや、どの程度、現実的かつ実現可能な、当該公共施設運営にとってのよりレベルの高いビジョンを描けているか、などを評価することが、実質的に不可能な状況に陥ってしまいます。
自然河川を例にすると、「①自治体から出される公募要項が適切なものであること。」が、指定管理公募における上流であり、「②選定評価委員の適切な人選」が中流、「③提出された事業計画書等の適切な評価」が下流部分を形成しています。
地方公共団体等の選定側の立場から見た指定管理公募の作業は、このように上流から下流にかけて形成されているものであり、上流(公募要項自体の質の確保)・中流(選定評価委員の適切な人選)・下流(事業計画書の内容自体についての適切な評価)の各部分が最適に組み合わされ、現実的かつ適切に機能してはじめて、市民、住民等の利用者満足度も最大限に引き上げ、かつ公共施設の存在意義についても将来的に高めることができる適切な指定管理者の選定が可能となります。